日本ラクロス協会「脳振盪啓蒙の日」

一般社団法人日本ラクロス協会では、2018年に全協会会員に脳振盪の深刻さ及び危険さを再認識する機会として、毎年3月1日を『脳振盪啓蒙の日』に制定しました。

今年はSPOの細川が研究実施責任者として行った「大学ラクロスアスリー、トの脳振盪に関する実態調査」の報告(概要)を公開しています。

edX Sport Safety: A Guide to Preventing Sudden Death in Sport

この度、SPOの細川准教授が監修したedX講座「Sport Safety: A Guide to Preventing Sudden Death in Sport」(英語)が開講しました。

edXは、マサチューセッツ工科大学とハーバード大学によって創立された大規模公開オンライン講座(MOOC:Massive Open Online Course)プラットフォームで、世界中の学生に無償で、多岐な分野にわたる大学レベルの授業を無償で提供しています。本講座も修了証やクラス終了後のテストが必要ない場合は無償で参加していただくことが可能です。

第1期の開講スケジュールは以下の通りです:
・3月30日
  Introduction
  Class 1: Introduction to Sport Safety Program
・4月6日
  Class 2: Sudden Cardiac Arrest
・4月13日
  Class 3: Head and Neck Injuries
・4月20日
  Class 4: Exertional Heat Stroke

興味のある方は、以下のリンクより受講登録を宜しくお願いします:

https://www.edx.org/course/waseda-sport-safety

New Publication: Pediatric Emergency Care

Pediatric Emergency Careに新しい論文が掲載されました。

Cools KS, Crowder M, Kristen KL, Thomas LC, Hosokawa Y, Casa DJ, Gasim A, Lee S, Schade WT. Sudden Death in High School Athletes A Case Series Examining the Influence of Sickle Cell Trait. Pediatric Emergency Care. 2022;38(2):e497-e500. doi: 10.1097/PEC.0000000000002632.

本論文では、横紋筋融解症で亡くなった3名の鎌状赤血球形質をもつアスリートに関する症例報告をまとめています。日本国内では発生頻度の極めて少ない疾患ですが、北米のスポーツ関連突然死データをみると心疾患・労作性熱射病・頭頚部外傷の次に発生件数の多い疾患です。

https://journals.lww.com/pec-online/Abstract/2022/02000/Sudden_Death_in_High_School_Athletes__A_Case.23.aspx

New Publication: 日本アスレティックトレーニング学会誌

日本アスレティックトレーニング学会誌に新しい論文が掲載されました。

細川由梨. 科学的根拠に基づいた提言書ができるまで.日本アスレティックトレーニング学会学術誌.Japanese Journal of Athletic Training. 2021;7(1):17-21.

「アスレティックトレーニング分野における学術的基礎」という特集の一つとして、海外ではポジションステイトメントやコンセンサスステイトメントなどとよばれる提言書ができるまでの過程について解説させて頂きました。今後は日本においてもこのような手順を踏まえたガイドラインが増えることで、専門家の知見やエビデンスに基づいた提言が現場に届きやすくなることを願っています。

https://doi.org/10.24692/jsatj.7.1_17

泉 秀幸, 笹木 正悟, 細川由梨.日本における「アスレティックトレーナー」と「トレーナー」は同じなのか?実態調査を用いた属性と業務比較. Japanese Journal of Athletic Training. 2021. 2021;7(1):127-134.

こちらの論文ではアスレティックトレーニング専門職の「名称」について、検討しています。名称の統合や差別化は職域のアイデンティティ、そして社会からどうみられたいかに直結するトピックであるため、まずは現状を把握することを目的に横断調査結果を解析しました。

https://doi.org/10.24692/jsatj.7.1_127

New Publication: 日本臨床スポーツ医学会誌

日本臨床スポーツ医学会誌に新しい論文が掲載されました。

Murata Y, Otomo M, Uchida R, Hosokawa Y, Torii S. 柔道部活動は安全になったか?-頭頚部外傷での死亡・障害事故に着目して-. Japanese Journal of Clinical Sports Medicine. 2021;29(3):430-437.

全日本柔道連盟は柔道事故の中でも特に重症事故が集中していた頭頚部外傷の防止を目的に「柔道の安全指導第三版」を2011年に発行しました。同時期には 公認指導者資格制度の講習会においても頭頚部外傷に関する教育を開始され、頭頚部外傷の予防に向けた取り組みを積極的に行ってきました。本論文ではこの取り組みの前後(2003-2010年 vs. 2011-2018年)で頭部・頚部外傷による死亡・障害事故の発生率に変化があったかについて検討しています。

結果として、頭部外傷の予防策は2011年以降に有効であったと示唆されましたが、 頚部外傷の発生率は変化が確認されなかったことから頚部外傷予防を意識したより具体的な対策・介入が必要であることが示されました。

https://mol.medicalonline.jp/library/journal/abstract?GoodsID=dp2sport/2021/002903/028&name=0430-0438j&UserID=133.9.4.11

New Publication: British Journal of Sports Medicine

British Journal of Sports Medicine に新しい論文が掲載されました。

Hosokawa Y, Adami PE, Stephenson B, Blauwet C, Bermon S, Webborn N, Racinais S, Derman W, Goosey-Tolfrey V. Prehospital Management of Exertional Heat Stroke at Sports Competitions for Paralympic Athletes. British Journal of Sports Medicine.2021. Online First. doi: 10.1136/bjsports-2021-104786

この論文では初めてパラアスリートにおける労作性熱射病のプレホスピタルケアに関する留意点をまとめています。Cool First Transport Second の基本理念は変わりませんが、自律神経反射の恐れや搬送(移動)手段の注意、低体温症リスクの恐れなどの点を考慮しながら、最も安全に冷却する方法を検討する必要があるという点に注意する必要があります。

https://bjsm.bmj.com/content/early/2021/10/06/bjsports-2021-104786

New Publication: GeoHealth

GeoHealth に新しい論文が掲載されました。

Morrissey MC, Casa DJ, Brewer GJ, Adams WM, Hosokawa Y,  Benjamin CL, Grundstein, Hostler AJD, McDermott BP, McQuerry ML, Stearns RL, Filep EL , DeGroot DW, Fulcher J, Flouris AD, Jacklitsch BL, Jardine JF , Lopez RM, McCarthy RB, Pitisladis Y, Pryor RR, Schlader ZJ, Smith CJ, Smith DL , Spector JT, Vanos JK, Williams WJ, Vargas NT, Yeargin SW.Heat Safety in the Workplace: Modified Delphi Consensus to Establish Strategies and Resources at the Organizational Level to Protect U.S Workers. GeoHealth. 2021. 5(8): e2021GH000443. doi: 10.1029/2021gh000443

労働環境における暑熱リスクについて、働く人の安全と健康のために現場で行うべきことをまとめた論文です。総勢51名の有識者によって検討された、最新のエビデンスに基づいた推奨文です。アメリカの法律や環境を意識して書かれている部分もありますが、大半の内容は日本の労働環境においても応用できる内容です。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1029/2021GH000443

New Publication: PLOS ONE

PLOS ONE に新しい論文が掲載されました。

Yamanaka-Suzuki M, Hosokawa Y, Ayusawa M, Hirose N, Kaneoka K. Epidemiology of Sports-Related Fatalities during Organized School Sports in Japanese High Schools between 2009 and 2018. PLosONE.2021. 16(8): e0256383 doi: 10.1371/journal.pone.0256383.

日本の高校におけるスポーツ関連突然死の発生件数は年々減少傾向にあるものの、急性心停止や労作性熱射病を理由を含む indirect cause of death (発生要因が何らかの直達外力による事故ではない、労作性ストレスによるもの)の予防やプレホスピタルにおける救命率の向上についてはまだまだ課題が残ります。

労作性熱射病に特化したデータとして、一部練よりも二部練日、通常の練習よりも合宿時に発生件数が比較的集中していることが分かりました。

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0256383

New Publication: Injury Epidemiology

Injury Epidemiology に新しい論文が掲載されました。

Hosokawa Y, Murata Y, Stearns RL, Suzuki-Yamanaka M, Kucera KL, Casa DJ. Epidemiology of sudden death in organized school sports in japan. Injury Epidemiology. 8:27. https://doi.org/10.1186/s40621-021-00326-w

スポーツ関連突然死について、アメリカのデータセットはたくさん論文になっていますが、国内データの原著論文が少なかったので今回日米の研究者グループでまとめてみました。日本なのでラグビー・柔道・野球のリスクが高いという、海外にはない傾向がありましたが、やはりスポーツ関連突然死の原因はトリプルH(心疾患・頭部外傷・労作性熱射病)がトップ3という結果になりました。

https://rdcu.be/coaGp

New Publication: NAP

NAPから「スポーツ現場における暑さ対策 スポーツの安全とパフォーマンス向上のために」が出版されました。

暑熱環境が身体やパフォーマンスに及ぼす影響について、豊富な科学的データを元に解説されている一冊です。「スポーツ現場における熱中症の対処法と復帰プログラム」の章を担当させて頂きました。

https://www.nap-ltd.co.jp/book/167/

目次
Part I  基本編
 Chapter 1 スポーツ活動時の体温調節
 Chapter 2 気温,湿度,気流,日射と運動パフォーマンス
 Chapter 3 脱水と運動パフォーマンス
 Chapter 4 気象の特徴とその活用
 Chapter 5 スポーツ現場における熱中症の対処法と復帰プログラム(細川由梨)

Part II  実践編
 Chapter 6 スポーツ現場における暑さ対策の重要性
 Chapter 7 水分補給
 Chapter 8 暑熱順化
 Chapter 9 身体冷却
 Chapter 10 女性の暑さ対策
 Chapter 11 子どもの暑さ対策
 Chapter 12 高齢者の暑さ対策
 Chapter 13 身体障害者の暑さ対策
 コラム1 競技現場における身体冷却:JISSにおける実践例
 コラム2 気象データを活用した競技現場の暑さ対策

Part III スポーツにおけるコンディショニング
 Chapter 14 コンディション評価と脱水レベル
 Chapter 15 リカバリー
 Chapter 16 ハイドロセラピー
 Chapter 17 栄養
 Chapter 18 睡眠
 コラム3 トレーニング再開時の熱中症の発症リスクとその対策