こんにちは。SPO修士1年の小林和音です。
今回は、本年度の長野県菅平高原でのSAFEプロジェクトについてご報告させて頂きます。
SAFE(Sugadaira AED for Everyone)プロジェクトとは、日本ラグビーフットボール協会安全対策委員会の支援の下、帝京大学ラグビー部の鶴先生、国士舘大学の曽根先生、大木先生、桐蔭横浜大学の大伴先生、そして早稲田大学スポーツ科学学術院の細川先生にて、2022年度より運営されているAEDの普及、菅平を安全な環境にする事を目指したプロジェクトです。
長野県菅平高原にある全てのグラウンドに AED を配置するほか、一次救急処置(BLS)講習会の実施や、BLS に関する調査を中心に取組みを進めており、今年度からは救急車の配置の取組みを本格的に進めています。
3年目となった本年度のSAFEプロジェクトでは昨年度、試験的に実施した民間救急車(現場急行車)の配備を待機期間を15日と拡大して本格的に実施しました。
現場急行車には医師、看護師、救急救命士とインターンの学生が乗車し上田消防署と連携しながら要請があった場合には現場に駆けつけて対応をしました。

現場急行車の他にもマンパワーが必要な場合に搬送の補助をする救急救命士やインターン学生が乗車する搬送補助スタッフ車や現場や菅平高原クリニックから二次医療機関に搬送する際に活用する搬送車両も同時に配備していました。
これらの各セクションが細かなフローに従って連携し、菅平高原部での緊急時に安全安心を提供できる救護体制の構築を目指して活動を行いました。

私も国士舘や桐蔭横浜、帝京の学生と一緒に現場急行車や搬送補助スタッフ車に乗り、要請に応じて現場に急行し、対応を行いました。
今まではスポーツチームの現場でトレーナーとして対応していたので、現場に急行して医療機関に搬送するという救護の現場は学ぶ事がたくさんあってとても刺激的な時間を過ごすことが出来ました。
医師、看護師、救急救命士、現場のアスレティックトレーナーやスタッフがチームとなって選手の安全を守るという「チーム医療」を実際の活動を通して経験できたことは本当に大きな学びであったと感じます。
BLS講習会では、チームの宿舎にお邪魔したり菅平高原クリニックの2階を使用したりしてチームスタッフや選手を対象に実施しました。
国士舘大学の先生方と救急救命士の学生の皆さんがBLSの講師を担当され、桐蔭横浜大学と早稲田大学から来ていた学生でサポートを務めました。

8/10(土)には高校チームの選手とスタッフ100人以上に対して講習会を実施し、胸骨圧迫やAEDの使用方法をレクチャーしました。


ラグビー選手やサポートするスタッフの方々が、人の命を守る行動を学ぶために意欲的に講習会に参加する姿勢は本当に素晴らしいことだと感じました。
今年度は、SAFEプロジェクト、特に現場急行車の配備を周知する為に各グラウンドを周回し、入り口や見やすいところにチラシを張るという活動も実施しました。

また、周回したグラウンドの入り口は救急車両の進入が可能か、ストレッチャーによる搬送時の注意点は無いか、急な坂道や階段が無いかなどの一口コメントと入口の写真を撮影して共有するという活動も一緒に実施しました。
入口が広くグラウンドの中まで車両が進入可能なグラウンドもあれば、車両が通れないような山道を登った先に位置するグラウンドもあり、改めて菅平高原の特異性を実感しました。

現場での救護活動をスムーズを行う為にも、車両の進入やストレッチャーでの搬送が難しいグラウンドで要請があった場合の対応を事前に話し合う事は非常に大切なことだと感じました。
まだそれぞれのグラウンドの情報をまとめている段階なのですが、完成したら菅平高原部全体のEAPの一部にもなり得る物かなとも思い、取組んでいる活動の規模の大きさにわくわくしました。
さらに今年度から始めた取組みとして「+ONE」の周知活動も行いました。「+ONE」は、両チームの代表者(SAやチーム関係者)が試合開始前に行う、緊急時の対応についての約1分間の打ち合わせです。

周知活動として菅平高原の宿に訪問し、「+ONE」のカードをAEDと一緒に設置して頂くようお願いしました。

3枚集めて菅平高原クリニックに持参して頂いた方に素敵なプレゼントを用意していたので、実際に使用したトレーナーさんやチームスタッフの方から「+ONE」を実施してみてどうだったかお話を聞くことが出来ました。
現場急行車にて緊急時対応を行っている現場で、相手チームのバックボードを使用しているチームが何件かあったので、資機材の確認含めて試合前の緊急時対応の打ち合わせの重要性を再認識することが出来ました。
菅平高原に滞在してSPO学生としてSAFEプロジェクトに参加する中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との交流やスポーツ現場の安全についてお話する機会を通してたくさんの気づきを得ることが出来ました。
最後になりましたが、本プロジェクトを支援頂いている日本ラグビーフットボール協会安全対策委員会や菅平高原観光協会の皆様、また本プロジェクトに関わる全ての方に深く感謝申し上げます。

今後もSAFEプロジェクトや菅平高原の安全に少しでも貢献できるよう精進して参ります。
M1 小林和音